Сушки スーシュカと『ゴールデンカムイ』

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2026年4月現在、映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』が絶賛上映中の今。
遅ればせながら私、漫画『ゴールデンカムイ』読了に向け読破している最中です。

正直に言うと、面白そうなストーリー漫画だけれど
『ゴールデンカムイ』に触れる事をずっと避けていた。
理由は単純で、作中のグロテスクに感じられる表現が苦手だったから。

けれど北海道という土地柄、この漫画を避けて通る事の方が難しかった。

数年前、ふらり立ち寄った旭川の古美術骨董店でも『ゴールデンカムイ』の洗礼を受けた。
この骨董店オーナーは、アイヌ人彫刻家・砂澤ビッキの芸術性に目をかけて
金銭的援助をしていたパトロン的な人物だった。広大な店内に、
アイヌにまつわる品々や木彫り作品などがかなりな密度で展示されていた。
まるで私設博物館のようなお宝部屋がいくつもあった。

案内してくれたオーナー夫人の話では、『ゴールデンカムイ』の監修にも携わり、
作者の野田サトル氏とも何度も会っているという。今なら「そうなんだ!」と感嘆する
ところだけれど、その頃は「そうなんですね」くらいの温度しか持っていなかった。
それでも、アイヌの人たちとの交流、木彫り熊の話、
ビッキがすぐにお金を使い果たしてしまうエピソード、
『ゴールデンカムイ』にまつわる裏話など、十分、面白かった。

そして、昨年11月。
レトロシア」という、ユーリィ・ノルシュティンのドキュメンタリー上映会と
ロシアのチョコレート包み紙展を開催した際に、新潟の老舗菓子店のロシアのお菓子を
紹介する事になった。

レトロシアというだけあって、関係者は皆、何かしらロシアとゆかりが深い。
お菓子の中に、「Сушки(スーシュカ)」という焼菓子があった。
私にすれば、ロシアのお菓子というだけで興味がわいた。
材料は小麦粉、卵、塩のみの、ドーナツ状をした粉砂糖も何もまぶしていない
素朴なお菓子。

マツヤさんHPより

そうしたら、レトロシア界隈の人たちが口々に
 「これがあの、スーシュカ!」
 「鯉登少尉の!」
と熱量の高いやり取りを繰り広げ、中には
 「見つけました、17巻 168頁でしたね」
という猛者も現れた。

硬くて、保存がきいて、サモワールに紐でくくりつけてある。

嬉しそうなみんなの顔とスーシュカがきっかけ、というか突破口になって、
『ゴールデンカムイ』を読んでみようと思った。

待ってました!とばかりに、『ゴールデンカムイ』が大好きな友人が
全31巻を貸してくれた。
あまりにグロい表現は ほわほわ〜と受け流して読み進めて、さらに驚いた。

私がこの数年、テーマにしていたオホーツク文化や北方ロシア、樺太アイヌなどが
軒並み、登場しているではないか!
個人的に惹かれてきた北方文化や人々の営みが、作中に惜しげもなく出てくる。
ロシア語も出てくる。ワーイ。

昨年、根室を一人旅して双眼鏡で目を凝らしてみた北方四島。
網走やオホーツク沿岸の星空、ラッコやセイウチ達。

東欧諸国を旅しながらロシアへ行くようになり、
どんどん興味が生まれた大地・北海道へ原点回帰していった。

面白い、面白いよ!『ゴールデンカムイ』。
映画もなかなか良い出来栄えという事だけれど、私は26巻から残りすくない漫画を
ゆっくりじっくり堪能して読もうと思う。

最後に。
我らが「ロシアビヨンド」より、スーシュカのレシピを掲載しておきます。

ロシアビヨンド ←このレシピでは芥子がのってます。

text: OMOMUKI magazine/ CIMACUMA SAORI

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