2026年1月。
年明け早々、世界はイランという巨大な灯火が揺らぎ、崩れ落ちようとする歴史の転換点に立ち会っています。
連日のように流れる凄惨な映像や、飛び交う「レジームチェンジ(体制転換)」の言葉。
しかし、その激しい炎の裏側には、目には見えない「影の主役たち」の暗躍と、数千年にわたる思想の対立が潜んでいます。
私たち日本人は、この喧騒をどう見つめればよいのでしょうか。
今回のイラン大規模デモについて、茂木先生のYoutube動画がわかりやすくまとめられているのでシェアします。
砂漠に伸びる「見えない手」と情報戦の霧
今回のイランの動乱において、無視できないのがCIA(米中央情報局)やモサド(イスラエル諜報庁)といった情報機関の存在です。
イラン政府側は、今回のデモを「CIAとモサドによるハイブリッド戦争」と断定しています。
歴史を紐解けば、1953年のイラン・クーデターからアラブの春、ウクライナ情勢に至るまで、大国のパワーゲームにおいて諜報機関が「火種に油を注ぐ」役割を果たしてきたことは否定できません。
SNSに溢れるショッキングな動画の数々。
その中には、人々の怒りを煽るために巧妙に編集された「過去の残像」も混ざっています。
「何が真実で、誰が糸を引いているのか」――その境界線が溶けていく霧のなかに、今のイランはあるのです。

【深層】影の領域――現代の情報工作、その冷徹な手口
彼らの活動は、映画のように派手な爆破や銃撃戦ばかりではありません。
現代の諜報戦は、より静かに、人々の心理とインフラの隙間に忍び込みます。
例えば、「デジタルの霧」を作り出す手口。
政府によるインターネット遮断を突破するための衛星通信機器(スターリンクなど)は、市民の命綱となる一方で、外部からの情報操作のルートにもなり得ます。
SNS上では、無数のボット(自動プログラム)が特定の感情を煽る投稿を拡散し、デモ参加者の熱狂と恐怖をコントロールしようと試みます。
また、より物理的な「神経戦」も展開されます。
イラン国内の重要施設で不可解な火災や停電が相次ぐ背景には、モサドなどによるサイバー攻撃やサボタージュ(破壊工作)の可能性が囁かれています。
さらに、体制内部の要人に接触し、「次の政権での地位」をちらつかせて離反を促す心理工作。
これらの手口は、既存の社会不安を増幅させ、体制内部に「誰も信じられない」という強烈な疑心暗鬼の種を植え付けます。
自然発生した市民の怒りの炎を、意図した方向へ燃え広がらせるための、冷徹な計算がそこにはあるのです。
終わらぬ「善悪二元論」の呪縛

こうした活動の根底には茂木先生が指摘するように、古代ペルシャに端を発する「ゾロアスター教的な善悪二元論」が横たわっています。
「我々は光(善)であり、敵は闇(悪)である。ゆえに悪は滅ぼさねばならない」
この極端な思考は、ユダヤ・キリスト教的な「正義の鉄槌」となり、あるいはシーア派イスラム教の「殉教精神」となって衝突し続けています。
CIAやモサドの暗躍も、自らの「正義」を貫くための手段として正当化されてしまう。
そこには、相手を受け入れる「余白」は存在しません。
「悪の反対は、別の悪である」という言葉が示す通り、一つの独裁を倒した後に、別の「影」が入り込む――この不毛な連鎖こそが、中東が抱え続ける悲劇の正体なのです。
日本の「和」が示す、もう一つの道
こうした「分断と殲滅」の論理に対し、私たち日本人が古来より大切にしてきた精神は、驚くほど対照的です。
日本の八百万の神々や古神道の根底にあるのは、「敵を滅ぼすのではなく、祀(まつ)る」という調和の作法です。
かつての政敵や荒ぶる魂を、あえて神として迎え入れ、その力を鎮めて共に生きる「怨霊信仰」や「和の精神」。
これは「白黒つけない曖昧さ」と批判されることもありますが、現代のような「正義」が暴走する時代においては、世界を破滅から救うための「究極の寛容さ」となり得るのではないでしょうか。

趣(OMOMUKI)ある視点で世界を視る
イランの街頭で命をかけて戦う市民の苦しみは、間違いなく本物です。
同時に、その背後で蠢く諜報機関の冷徹な計算もまた、現実です。
私たちは、流れてくる情報をそのまま鵜呑みにして「どちらが正しいか」と拳を振り上げるのではなく、その裏にある歴史の重層性や、人間が陥りやすい思想の罠を静かに見つめる必要があります。
混沌とした世界情勢の中に、一筋の「調和」の光を見出すこと。
激動の2026年、私たち日本人に求められているのは、この「和」のフィルターを通して世界を解釈し、発信していくという、静かなる挑戦なのかもしれません。

年明け早々の通信遮断で、イランの友人と連絡が取れなくなりました。
彼女とご家族、そしてイランの人たちの無事を願っています。
text: OMOMUKI magazine / CHAKA MAYO



コメント