「女ひとり旅ってどんな感じ?」を体感できる、旅マンガ

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織田博子/ 女一匹 冬のシベリア鉄道の旅

バスに乗ったら前に座っていた人が、ロシアのおばあちゃんみたいにスカーフを頭に巻いていた。ふいに、サンクトペテルブルクをひとり旅した時のバスの光景がよみがえりました。

ひとり旅って家族や友達との旅行にはない独特の緊張感があって、それが些細な光景も印象的に記憶に刻むみたいです。

そんな「ひとり旅の感覚」が体感できる“旅エッセイマンガ”を教えてもらいました。


女一匹 冬のシベリア鉄道の旅/織田博子』。

作者の織田博子さんは「食を旅する」イラストレーター/マンガ家。『世界家庭料理の旅』をテーマに2010年、ユーラシア大陸一周半旅行を敢行した知的好奇心あふれる行動派です。読む側もまるでそこを旅しているような感覚に浸れる現地感満載のイラストやマンガを発表しています。

織田博子さんHP

『女一匹 冬のシベリア鉄道の旅』は『女一匹シベリア鉄道の旅』『女一匹シルクロードの旅』の続編として刊行されました。作者が選んだルートがまたユニークで、まず日本の鳥取・堺港から韓国を経由して、シベリア鉄道の始発駅のあるウラジオストクまで船で赴くというもの。ウラジオストクからモスクワに向けた車内では、2ヶ月ぶりに家族の元へ帰る単身赴任の人と同乗したり、風邪をひいて看病を受けたりと、人情味あふれる現地の人たちとふれあいます。

作者の、大ファンにしてこの旅最大の目的がロシアのおばあちゃんアイドルグループに会うこと。目的地への乗り継ぎのため、夜に小さな駅で途中下車することになります。この駅で「次の列車は数日後までないよ」と言われ凹み、しかも構内が消灯して真っ暗になってしまいます。誰も知る人のいない初めての駅が急に真っ暗になった驚き。心細さ。不安に襲われた状態から次の行動を選択するまでの心の流れの描き方に「わかる〜!」と思わず感涙。旅の体験が重なります。

ひとり旅って、ひとりだからこそ味わうことのできる特有の自由気ままさがありますが、とてつもない心細さが顔を出すことも。疑心暗鬼に陥るハプニング、そこに現れる旅の天使。人々の純粋なおせっかい、あたたかさ。言葉がなくてもハートで伝わり合うもの。そういう、ひとり旅したことのある人ならきっと経験している「わかる〜!」「あるある」が散りばめられています。

読み進めるうち、ひとり旅ならではの感覚がブワッとよみがえってきて「もうこりごり。。」と思ったあの旅の感覚を「いいなぁ」「またしたいなぁ」と思ってしまう中毒性!

「女の」という枕詞を取り外して。すべてのひとり旅したことのある人へ、これからひとり旅したいと思っている人へ。旅を追体験できて、「ひとり旅ってどういう感じ?」を体感できるおすすめのコミックエッセイです。

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この記事を書いた人

'дача'(Dacha ダーチャ)はロシア語で手づくりの小屋のある庭のこと。北海道で、おばあちゃんのうちを訪れたような懐かしい東欧雑貨店を運営しています。uracima名義で星読み活動もしています。

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