音楽でめぐる中東の旅 ~ ジョージア(グルジア)編

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「音楽でめぐる中東の旅」の第二回目は、ジョージア(グルジア)編です。

第一回目のアゼルバイジャン編はコチラ

ジョージアの位置する南コーカサス地方は中東・ロシア・アジア・ヨーロッパの狭間にあり、文明の十字路として多様な文化・言語・宗教が入り混じっています。

日本から遠く離れた小さな国なので知らない方もいるかもしれませんが、近年ジョージアはワイン発祥の地として世界的なプロモーションに成功しているので、ワイン好きな方はご存じではないでしょうか。

ちなみにジョージアでは紀元前6,000年頃からワインを飲んでいた痕跡が見つかり、隣国のアルメニアでは紀元前4,000年頃のワイン醸造の遺跡が発見されるなど、南コーカサス三ヶ国(ジョージア・アルメニア・アゼルバイジャン)がワイン発祥のエリアとなっています。

ジョージアの首都トビリシで伝統的なクヴェヴリ(素焼きの壺)仕込みのアンバーワイン(オレンジワイン)を5種類ほど飲み比べしてみましたが、どのワインも風味豊かで美味でした。

日本でもジョージアのワインが手に入るので、興味のある方はぜひ飲んでみてくださいね。断然ナチュールワインがオススメです!

それでは中東雑貨CHAKAの店主MAYOによる、ジョージア音楽の旅をお楽しみください。

ジョージアの民族舞踊と民族音楽

Georgian National Ballet Sukhishvili / Kholmi

ジョージアには地域ごとに異なる民族舞踊&民族音楽があり、大きく分けると約16種類あります。

舞踏と音楽は密接に結びついた文化なので、まず一曲目はどちらにも関わる楽曲をご紹介したいと思います。

ジョージアンダンスが世界的に注目されるきっかけとなったのが、ジョージアの民族舞踊団「Sukhishvili(スヒシュビリ)」「Rustavi(ルスタビ)」の舞台公演です。

男性ダンサー、女性ダンサー、合唱団、楽団で構成されたステージでは、民族衣装を着用したダンサーたちが圧巻のパフォーマンスで観客を魅了します。

とくに男性のキレッキレのアクロバティックなジャンプやターン、高速スピンがめちゃくちゃ格好良くて超人的(笑)。

ジョージア国内には大小さまざまな民族舞踏団がありますが、今回ご紹介するのは
「Georgian National Ballet Sukhishvili(ジョージアン・ナショナル・バレエ・スヒシュビリ)」という民族舞踊アンサンブルの
「Kholmi(ホルミ)」という楽曲です。

「スヒシュビリ」は1945年にジョージアのバレエダンサー夫婦によって設立されました。

衰退していたジョージアの民族舞踊を活性化させるべく、伝統をベースにバレエの要素を採り入れて創造&再構築したステージは、現在では毎年世界ツアーを行うほど国際的にも人気となった舞踏団です。

こちらの動画は「スヒシュビリ」のダイジェストムービー。

民族舞踏団のステージでは専属の楽団がダンスに合わせて生演奏するのですが、今回はクラブミックスした楽曲をご紹介します。

戦争をテーマにした「Kholmi(ホルミ)」という男性の群舞曲です。

Georgian National Ballet Sukhishvili / Kholmi

ジョージアといえば、多声音楽ポリフォニー

ジョージアの多声音楽ポリフォニーは、ユネスコ世界無形文化遺産に認定されています。

ポリフォニーとは複数の異なる旋律が、一定の秩序のもとで同時進行する音楽のことです。

コーカサスの山岳民族から受け継がれ、紀元前1000年頃から生活に定着したポリフォニーは、現在ではジョージア正教会の聖歌と農作業の合間に歌うような世俗的な楽曲の大きく2つに分けられます。

ちなみにジョージアは、337年にキリスト教を国教とした世界で二番目の国です(一番目はアルメニア)。

トビリシの蚤の市で見かけた「RUSTAVI(ルスタヴィ合唱団)」によるポリフォニーのジョージア聖歌レコード。

Basiani Ensemble / Kakhuri Mravalzhamier

ご紹介するポリフォニーは
「State Ensemble of Georgian Folk Song Basiani(グルジア民謡国立アンサンブル・バシアーニ)」
「 Kakhuri Mravalzhamier(カフリ・ムラヴァルジャミエリ)」という曲。

「カフリ・ムラヴァルジャミエリ」はカヘティ地方の代表的なテーブルソング(世俗的なポリフォニー)で、宴会の席で長寿の願いとして歌われています。

Basiani Ensemble / Kakhuri Mravalzhamier

Mravalzhamieri のポリフォニーライブ

ジョージアの首都トビリシに滞在中、民族音楽&民族舞踊をライブで楽しめるレストランMravalzhamieri(ムラヴァルジャミエリ)」へ行ってきました。

地元民にも人気店らしくジョージアのマダム御一行さまをはじめ、イランのセレブ一族、ロシアのファミリー、ポーランドの団体客、などなど多国籍な客層でした。

ジョージアの郷土料理&ワインを堪能しながら、民族音楽からの生歌のポリフォニー、そしてジョージアンダンス、ラストは女性シンガーによるジョージアンポップスのカラオケでダンスタイム。

日本人、というか東洋人は私とさおりんのふたりだけだったので、各テーブルにお呼ばれして乾杯を繰り返し、ジョージアンマダムたちにはウォッカ勧められ、かなーり泥酔したトビリシの夜でした(笑)。

コチラの動画は、現地で撮ったポリフォニーです。

ジョージアの民族楽器 パンドゥリ(Panduri)

旅行中、ジョージアの民族楽器をいくつか見かけたのでご紹介します。

右側の弦楽器がパンドゥリ、左側がチュニリ。

3弦の弦楽器で大中小の3種があり、小さいものからそれぞれ「パンドゥリ」「チョングリ・パンドゥリ」「バス・パンドゥリ」と呼ばれています。

歌の伴奏として使われ、ギターと同じように指と爪で弦をはじき演奏。

パンドゥリ
バス・パンドゥリ

トビリシの温泉街近くで見かけた、パンドゥリの路上ライブ。

哀愁漂う音色が沁みる、リュート型弦楽器のパンドゥリ。

ギターを用意しつつも、パンドゥリを弾いちゃうところがナイスな青年です。

日本の路上ライブでも、ギターをやりつつ三味線や琵琶も弾いちゃったりする若者が増えてくれるとうれしいなぁ❤


「音楽でめぐる中東の旅」ジョージア編、いかがでしたでしょうか。

ちなみにそもそもの国名はロシア語読みのグルジアでしたが、2015年に英語読みのジョージアにしろとお達しがあり、突然変更されてしまいました(反ロシア感情が強い国なので)。

個人的にはグルジアの方がしっくり来るのですが、しょうがないのでジョージアと書いてます(笑)。

次回はこれまた大好きな国、アルメニア編の予定です。

どうぞお楽しみに!

text: OMOMUKI magazine / CHAKA MAYO

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