音楽でめぐる中東の旅 ~ アゼルバイジャン編

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今回からスタートする新連載「音楽でめぐる中東の旅」の第一回目は、アゼルバイジャン編です。

アゼルバイジャンの位置するコーカサスは中東かというと微妙なところですが、2023年に旅してから大好きになったエリアなので選んでみました。

選曲は完全に私の好みなので、私がセレクトしたミュージシャンや楽曲を気に入ってもらえたらうれしいです♪

それでは中東雑貨店の店主MAYOによる、アゼルバイジャン音楽の旅をお楽しみください。

アジザ・ムスタファ・ザデ / Aziza Mustafa Zade

ジャジーザことアジザ・ムスタファ・ザデは、シンガーでピアニストで作曲家。

ジャズとムガムをミックスしたムガームジャズスタイルの女王と呼ばれています。

ムガムとはアゼルバイジャンの民族音楽の一種で、アラブ音楽の音階=マカームに則った即興演奏様式のこと。

アジザのお父さんがムガームジャスの先駆者で、彼女はそのスタイルを継いでいます。

Näje Sevim/どれだけ私があなたを愛しているか

2020年のアルバム「Generations」から、ムガームジャズ色の強い一曲。

ピアノ、エレクトリックベース、ドラムスのトリオで演奏。

アリム・カシモフ Alim Qasimov & フェルガナ・カシモバ Ferghana Qasimova

アゼルバイジャンの伝統音楽ムガムの歌手アリム・カシモフと娘のフェルガナ・カシモバ。

古典詩をアラブ音楽の音階=マカームに則って歌いながら、即興で演奏しています。

ユネスコ世界無形文化遺産に認定されたムガムですが、ルーツはペルシャ伝統音楽にあります。

弦楽器タール打楽器ダフ、弓で弾く弦楽器ケマンチェの、3つの楽器編成が基本スタイル。

タールはイランとコーカサス地方の楽器で、長いネックのリュート属の楽器です。

ダフはフレームドラムと呼ばれる大きなタンバリンのような打楽器。

ケマンチェは古代ペルシャで生まれた楽器で、バイオリンの原型と言われています。

ダフは中東、コーカサス、西アジアと広く使われていて、イランとコーカサスのダフはフレームの内側にリングがたくさん付いているのが特徴で、揺らして音を出します。

Ey Encanlar/私の瞳から雨のように流れる涙

ムガムの歌唱法の特徴は喉の奥をふるわせるこぶしです。

アゼルバイジャンではムガムですが、イランではタハリールと呼ばれています。

お父さんと娘さんのこぶしの掛け合いに、力強さや生命力を感じる一曲です。

セブネム・トブルズ Sebnem Tovuzlu

セブネム・トブルズはアゼルバイジャンの人気女性シンガーのひとり。

2006年にデビューし、アルバム3枚をリリース。

Bitanem/私はこれで終わりです

このポップスの特徴は、なんといっても6拍子

アゼルバイジャンのポップスに6拍子が多いのは、主にその伝統音楽文化的背景に起因しています。

アゼルバイジャンの音楽は、古くからの民俗音楽や舞踏音楽の影響を受けていて、これらのスタイルには変拍子などの複雑なリズムが含まれています。

6拍子は、とくにアゼルバイジャンの伝統的な舞踏音楽やマカーム(即興演奏)において重要な役割を果たしています。

このリズムは、ダンスの動きや感情を表現するのに適していて、聴衆を引き込む効果があります。

またアゼルバイジャンの音楽は、中東や中央アジアの音楽の影響も受けているので、リズムの多様性が生まれています。

ポップスにおいても、これらの伝統的な要素が取り入れられ、6拍子のリズムが使われることで独自のスタイルに。

これにより、アゼルバイジャンのポップスは、聴く人々にとって親しみやすく、かつダンスしやすい音楽となっています。


「音楽でめぐる中東の旅」アゼルバイジャン編では、ちょっと濃いめの3曲ご紹介しました。

次回はジョージア(グルジア)編の予定です。

お楽しみに!

text: OMOMUKI magazine / CHAKA MAYO

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