先日、赤塚高仁さんを追ったドキュメンタリー映画『アシュレイ‼』を観た。
赤塚高仁さんは作家&講演家であり「ヤマト・ユダヤ友好協会」の会長をされている、イスラエルとのご縁がとても深い方だ。
著書にはベストセラーの『お父さん、日本のことを教えて!』のほか、『ユダヤに学ぶ「変容の法則」』『聖なる約束 日本よ永遠なれ』など。
30年の間に40回以上もイスラエルへ渡り、1000人以上の日本人をイスラエルへ導いているという、日本人でありながらユダヤの伝道師的人物でもある。
また伝道師にとどまらず、イスラエルとユダヤ人を深く洞察することを通して日本と日本人の在り方を問い続け、全国各地で講演会の開催や塾の開講など日本人の目覚めを促す活動を主軸とされている。
私は赤塚さんの著書を読んだことがなければ、講演会に参加したこともなかった。
お名前を知っている程度でしかない私がなぜ映画を観に行ってみたかというと、イスラエルに対する自分の偏見に気づいていたからだ。
昨年10月7日にはじまったイスラエル VS ハマス戦争から一年が経過し、収束するどころか近隣諸国に戦争が拡大している先の見えない状況で、どのようにしたら戦争を終わらせることができるのかを私なりにずっと考え続けていた。
それまでは親パレスチナの視点で戦争を捉えていたので、戦争を主導しているのは一部の過激派シオニストたちだと理解してはいても(その背後にいる諸々の関係者を含めて)、どうしても反イスラエルの思いが拭えなかったのだ。
どちらかに肩入れしてしまうともう一方を単純に悪と捉えがちなので(それにしてもイスラエル軍によるガザへの攻撃は鬼畜だと思うけれど)、思考停止に陥らずに知るために行動してみることにした。
また赤塚さんのオフィシャルサイトにあった「本当に愛は、知ることからはじまる」というメッセージにも共感したからである。
STORY
世界で一番古い歴史と独自の伝統文化を持っている国、日本。
しかし、戦後GHQによって本当の歴史を教えられなくなってしまった。
作為的に捻じ曲げられてしまった私たちの歴史教育に危機感を感じ、国の存続さえ危ぶまれる。
国があるのは当たり前ではない。そこに気づてほしい。
そんな日本が学ばなければいけない国がある。
それはユダヤ、イスラエル。
一度滅び、約2,000年後に復活した唯一の奇跡の国である。
この国から学ぶべきところはあまりにも多すぎる。
建国以来「和」を大切にし、調和・協調しながら長く続いてきた我が国・日本が、そこからヤマト人としての威厳や自覚を取り戻せば、この時代に世界のお手本として役割を果たせるのでは?
まさに、そのような想いをもって講演を続けられている赤塚高仁(作家・講演家)氏にスポットを当て、彼の師匠であった糸川英夫先生の晩年の想い「ヤマトとユダヤが繋がって世界は平和に導かれる」といったテーマを熟考し、とにかく今の日本人に目覚めてもらいたい。
また、現在世間を騒がせているイスラエルの実情も知って頂きたい。
ユダヤ人は決して争いを好む民族ではないことを…
赤塚さんの活動を3年間追い続けた映像は、日本での講演やイスラエルツアーの様子、そして赤塚さんを取り巻く人たちのインタビューで構成されている。
なかでも赤塚さん率いるイスラエルツアーで必ず訪れる、マサダでのシーンが印象的だった。
マサダとは切り立った岩山の上にある要塞跡で、ユダヤの人々にとっての精神的な支柱であり、欠かせない象徴的な存在だという。
そもそもイスラエル王国とは、聖書時代から遡ると紀元前17世紀にはじまる。
アブラハム、イサク、ヤコブ(ユダヤ民族の族長)がイスラエルの地に定住。
飢饉により、イスラエルの民はエジプトへの移住を余儀なくされる。
紀元前13世紀、イスラエルの民はモーセに率いられてエジプトを脱出。
シナイ砂漠を40年間流浪し、その間にシナイ山で十戒などのトーラー(モーセ五書)を授かる。
前12-13世紀にイスラエル民族がカナーン(シリア・パレスチナ)にイスラエル王国を樹立。
前10世紀後半にイスラエル王国は北の「北イスラエル王国」と南の「南ユダ王国」に分裂し、北王国の人々は「イスラエル人」、南王国の人々は「ユダ人」と呼ばれた。
北イスラエル王国は前721年にアッシリアに滅ぼされ、10部族が世界各地に離散。
南ユダ王国は前586年にバビロニアに征服され、ユダ人の多くがバビロニアへ移された(バビロニア捕囚)。
その後、前538年に解放されて帰還した人々は、エルサレムに神殿を再建してユダヤ教を成立。
ここからユダヤ人と呼ばれるようになる。
前332年、アレクサンダー大王がイスラエルの地を征服し、ギリシアによる支配がはじまる。
前63年、ローマのヘロデ王がイスラエルの地を支配。
紀元66年、ローマの圧政に耐えかねユダヤ人が反乱を蜂起(ユダヤ戦争)。
70年、都エルサレムが陥落。
追われたユダヤ人約1000人がマサダに立てこもり、2年以上も抵抗を続ける。
73年、難攻不落といわれたマサダだが圧倒的なローマ軍の前に力及ばず、異教徒に辱めを受けるくらいなら死をと、女性と子供7人を残し、全員が自決を選んだ。
マサダでツアーメンバーに語りかける赤塚さんは、ユダヤ人たちがどのような思いで集団自決を選んだのか、そしてその歴史を後世にどのように残したのかを、まるでその場にいたかのような臨場感で詳細に伝えていた。
このマサダを最後に、ユダヤの民は1948年にイスラエルを建国するまで、世界に離散することとなった。
彼らの国を失った悲哀と民族としての誇り、そして国家再興への執念こそがユダヤ人の核となる部分であると赤塚さんから学ばせてもらった。
現在のイスラエルという国家の、世界を敵にまわしてでも国を守ろうとする強い信念を、少しだけ理解することができた。
「自国の神話や民族の歴史を学ばなくなった民族は、100年以内に必ず滅びる」と、イギリスの歴史学者アーノルド・トインビーの言葉がある。
ユダヤ人は王国の滅亡後、世界各地に離散して迫害を受けながら、ユダヤ教の教義を主軸に民族の歴史を語り継ぎ、子どもの才能を伸ばす家庭教育に注力してきた。
さまざまな分野で傑出した天才を世に送り出し続けているユダヤ人の秘密は、家庭教育にあると言われている。
では日本はどうなのかというと、「日本はいつ、だれがつくった国なの?」と子どもに質問されて、即答できる大人はどのくらいいるのだろうか。
敗戦後、GHQによって自国の神話と歴史を取り上げられてしまった日本において学校教育で教わることは、歴史のほんの一部に過ぎない。
今年で戦後79年を迎えた日本は、毎年2万人以上が自ら命を絶ち、引きこもり状態にある人は推定で147万人、不登校の子どもは小中学校合わせて30万人、長期欠席者を含めると46万人と、生きづらさを抱えている人が増えている状況だ。
「国があることを当たり前だと思わないように」と赤塚さんが語った。
建国から2684年もの長きにわたって日本が存続していることへの感謝は、これまで国土を守り命を繋いでくださったご先祖さまたちへの感謝だ。
ご先祖さまたちのひとりでも欠けていたなら、いまの私はこの世に存在しないのだ。
自国の神話や歴史を学ぶことは、日本人としてのアイデンティティを持つ上で必要不可欠なことであり、学校教育で学べないなら家庭教育で子どもたちへ伝えて行くことが必要だ。
歴史は自分の骨となり、教養は自分の血肉となるように、我が子への家庭教育を見直すための大きな機会となった映画だった。
教えるためにはまず自分がしっかり学んでみようと思う。
アイドルの推し活をする娘に、「推しは神武天皇❤︎」とか「天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神の造化三神を箱推ししてるんだよね♡」、とか言わせるくらい楽しい歴史教育ができたら最高である(笑)。
全国で上映会を開催中!
text: OMOMUKI MAGAZINE / CHAKA MAYO
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