陸稲(りくとう/おかぼ と読みます)のことを知ったのは
宮城や青森など東北に残る貝塚や遺跡をめぐっていた時でした。
それまでは「稲作は水田が必須条件」と思い込んでいたので
「もしも日照りが続いて水不足になったら私たちの主食(お米)はどうなるんだろう?」
と不安を感じていました。その連想には、子供の頃に
「水田での稲作で灌漑争いが起こり挙句に津波が来てしまう」という
バッドエンドなプロットのオカルト漫画を読んだことも重なっていました。
「稲作は弥生時代に始まり、農地へ水を人工的に供給する「灌漑」という便利なシステムができた」
と教科書には記してありましたが、
それだと常に「水」という資源をめぐって心配や不安といった気苦労が付きまとい
水不足が起こると争いに発展しない?とか、
大多数の人たちと意見の合わないマイノリティ(少数の人たち)は
水田を追われる「村八分」という排除の恐怖と常に背中合わせにならない?
それって全然、公平な感じがしないけど?
という疑問を子供の頃からずっと抱いていたので
「中国(湖南省長江流域)から日本に稲作が伝来したのは
縄文初期(約6000年前)はたまた縄文後期(約3500年前)。
最初は畑で栽培する陸稲で、後に田んぼで栽培する水稲になった」
と知った時には、
目の前にどよんとあった疑問の霧が晴れたような
一種、「εὕρηκα(エウレカ)=わかった!」気持ちになりました。
でも、お米農家じゃない一般人が稲を育てることは難しいのかな?と
プロフェッショナルへの遠慮の気持ちが働き実験できずにいました。
その意識が変換されたのは、自分のガーデニングが
そもそもルールに則らない自由を謳歌するスタイルだと気付いたからです。
陸稲やってみたいんだけど、と
しまくま堂で銀粘土WSをしてくれている あおのかぜKINKAさん(大阪)に話したら
「ぜひチャレンジしてください」と、ヒノヒカリ、緑米、古代米の種籾を
分けてくれました。
「北海道では、稲苗に育てておかないと間に合わないですよ」と教わったのですが
収入を得る活動でバタバタしていて稲苗の栽培に失敗してしまいました。
緑米、古代米の種籾は芽出しの段階だったので、
「失敗してもいいからやってみなさい」と言って畑を貸してくれた先輩のダーチャで
芽出し段階の種籾をそれぞれ蒔いてみることにしました。
奇遇すぎて「これは神の采配」と思うタイミングで
友達が「稲を分けてもらったんですがいりますか?」と連絡をくれました。
「はい喜んで!」というわけで、
ななつぼし?ゆめぴりか?どちらかの北海道米の稲苗も
畑に植えられることになりました。
念願の陸稲、初挑戦です。
はてさて、うまく稲が実るでしょうか?

これまで、家庭菜園で稲作といえば「バケツ稲」が一般的でしたが
北海道では十勝を中心に
陸稲農家さんが増えているのと、
家庭菜園で陸稲に挑戦する人もじわじわ増えています。
花やハーブ、野菜を育てるように
自分のうちの庭や畑でお米も育てられたら楽しいよね。
新たなガーデニングのジャンルになるといいな。
そんな想いを込めての初陸稲。
陸稲農家さんではマイコス菌という菌を一緒に植え付けるそうですが
私は自然の力だけでどうなるかを知りたいので
肥料などは何も入れずに、
「陸稲の成長を助けるコンパニオンプランツは大豆」とあったので
稲のまわりに大豆の種を蒔くことにしました。

その様子を見ていた先輩が、
「長野のあたりでは田んぼの畔に大豆を育て、
大豆のことを畦豆(あぜまめ)というんですよ」と教えてくれました。
7月現在、稲苗は枯れないけれどぐんと成長もしていません。
どうなることか、含めて実験させてもらえるフィールドに感謝です。


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