アラブ菓子は甘さが命。
と言っていいほど、めちゃくちゃ甘いお菓子が多い中東圏。
日本人の舌には甘過ぎて「きっとこの先も好きになることはないだろう」なんて高をくくっていると、気づいたら沼っているという恐ろしいスイーツ、それがアラブ菓子だ。
歯が痛くなるような甘さのアラブ菓子のなかでも、私がときどき思い出しては無性に恋しくなるのが、アゼルバイジャンの古都シェキの郷土菓子「シェキ・ハルバ」だ。
シェキ・ハルバなら何でもOKという訳ではなく、シェキの老舗菓子店 Halvaçı Yəhya(ハルヴァチ・ヤヒヤ)のハルバが忘れられない。
ハルヴァチ・ヤヒヤのハルバは、春雨ほどの細さの網目のような米粉生地の間に、砕いたヘーゼルナッツやくるみとカルダモンを挟んで焼き上げ、仕上げに蜂蜜をたっぷりかけて、サフランを格子柄に飾って完成する。
あざやかな朱赤のサフランの、整然とした格子柄が印象的な菓子である。
食べてみると米粉生地のザクザク感に蜂蜜がねっとりと絡まり、カリッとしたナッツも加わって独特の食感が愉しい。
漬かるほどの蜂蜜がかかっているのでかなり甘いけど、香ばしいナッツと爽やかなスパイスが利いていて、後味は予想外に軽やかだ。
別の菓子店で試食したハルバは蜂蜜ではなく砂糖のシロップを使っていて、残念ながら甘さが重くてくどかった。
ちなみに中東で一番有名な菓子バクラヴァも仕上げにシロップをかけるが、蜂蜜がけは一度も出会ったことがない。
味の取り合わせの問題なのか、コストの問題なのか、シロップと蜂蜜のどちらが美味しく仕上がるかバクラヴァを作って試してみたいところだ。
できることならシェキ・ハルバも自分で作れるなら試してみたいが、正直なところ網目状の米粉生地を作れる気がしない。
たとえ苦労してハルバを完成させても、甘すぎて家族のや友人たちの不評は目に見えている。
もしアラブ菓子に沼ってみたいマニアがいるなら、そのうちOMOMUKIでお茶会を企画して、シェキ・ハルバとお砂糖たっぷりのアゼルチャイで激甘スイーツタイムを堪能してみるのも楽しいかもしれない(笑)。
Halvaçı Yəhya(ハルヴァチ・ヤヒヤ)
M.F. akhundov 185 Sheki Azerbaijan
18世紀に建設されたキャラバンサライ(隊商宿)に店舗を構えている。
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