東欧ジプシー音楽の旅、前回はまさかのブルガリアン・ボイス推しになりましたが
3回目の今回はバルカン半島へと移動します。
バルカン半島といえば、
セルビア、モンテネグロ、マケドニア、アルバニア、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナ
を含む旧ユーゴスラビアの国々で織りなされる場所です。
しまくま堂は一度、旧ユーゴスラビア圏の国・セルビアを訪れたことがあります。
それは2020年1月。降り立ったのは首都ベオグラードのニコラ・テスラ空港、
そう、アメリカ合衆国へ亡命した天才科学者ニコラ・テスラの出身国です。
この時、いつもは中国人で満席になる帰国便の飛行機に中国語を話す人が
ひとりもおらず、代わりにタイや韓国などのアジア圏から日本へ
観光旅行に訪れる人たちがまばらにいるだけで
「中国人がいないのは春節が近いからかな?」と呑気に思っていました。
まさか武漢を皮切りに、中国からの出国禁止となる流行カゼ(風邪)が
始まっていたとは知る由もありませんでした。帰国した同年2月から日本全国で
「コロナ渦」と呼ばれる流行カゼ事変が勃発..
この流行カゼに関しては、世界を恐怖に陥れるシナリオがあったのではないか?という
声もささやかれており、個人的にはその説を濃厚説として捉えていますが
何にせよ、インパクトを持って記憶に残る年でした。
と話が脱線したところで、バルカン半島とバルカンビートについて紹介します!

TOP画像とこの画像は「クロアチアとボスニアヘルツェゴビナの民族」と言う
私物の書籍より抜粋しました。
バルカン半島のこと、そして「バルカンビート」とは?
「バルカン半島」という呼称は「バルカン山脈」からきています。
バルカン山脈=セルビア〜ブルガリアの国境から黒海沿岸までを指します。
前回、私が推したブルガリアン・ボイスが息づく国・ブルガリア全土を横断しています。
バルカン半島には伝統的なジプシー音楽が存在していましたが、
その伝統音楽とクラブカルチャーとが融合して世界中の音楽シーンを席巻したのが
「バルカンビート(Balkan Beats)」です。
「バルカンビート」とは、ジプシー音楽やクレズマー(klezmer music:英語
東欧ユダヤ人の伝統音楽、それを演奏する楽団のこと)などの東欧民族音楽に、
電子音・ヒップホップ・ファンク・レゲエなどを融合させたクロスジャンル音楽です。
東欧雑貨の店を運営しているご縁から、某企業の商品開発をしている方を
紹介してもらったことがあります。その人が
「ベルリンで旧ユーゴスラビアの友人達とバルカンビートを普及させる活動をしていた」
と言っていたのが、私が「バルカンビート」という言葉を知った最初です。
その人から聞いた話と旧ユーゴスラビア激動の歴史に混ざり合う民族文化、
そこにクロスオーバーする伝統的なジプシー(ロマ)音楽が
バルカンビートという音楽を誕生させたのだと認識しました。
バルカンビートとは?
発祥:2000年代初頭 ベルリン(ドイツ)を拠点に発展したムーブメント
特徴:ロマ音楽の即興的フレーズ、管楽器が唸る爆裂ブラスサウンド、踊り出さずにいられない
高速なビートとリズム
ポイント:戦争と分断を乗り越えた「生」のエネルギー
バルカンビートの代表アーティスト
Goran Bregović(ゴラン・ブレゴヴィッチ)
元ユーゴスラビアの伝説的バンド「Bijelo Dugme」のギタリストで
映画『アンダーグラウンド』(エミール・クストリッツァ監督)などの音楽を担当。
ジプシー伝統音楽とオーケストラ、現代的なビートを融合させたスタイルで
バルカンビートの礎を築きました。

Shantel(シャーンテル)
ドイツ出身。ルーマニア系の血を引き、ロマ音楽とクラブサウンドを見事にミックス!
ベルリンのクラブ「Lido」でのDJイベント〈Bucovina Club〉は
バルカンビートムーブメントの発火点とも言われています。
ちなみに Bucovina(ブコヴィナ)はルーマニア北東部にある地域で
もともとはドイツ語の「Buchenland=ブナの国」を意味します。
Balkan Beat Box(バルカン・ビート・ボックス)
ジプシー(ロマ)音楽、東欧ユダヤ人ゆかりのクレズマー、中東音楽、レゲエ、
ヒップホップなどを組み合わせたユニット。政治的なメッセージ性も内包しながら
ダンスフロアで一体感を生む音楽性が評価されています。
ジプシー音楽とバルカンビートの親和性
ジプシー(ロマ)音楽とバルカンビートには、バルカン半島(Yugoslavia)
というルーツに共通するものがあり、親和性が高かったとみられます。
既得権益や体制への抵抗、マイノリティ(少数派)の多様性を肯定など
ジプシー達の根底に息づく思想がパンク精神としてあること。
伝統的な古き良き音楽性を最新のクラブサウンドとして蘇らせる柔軟性、
民族や国境、思想、言語の壁を越えて「ノル」グルーヴ感。
どこか土着的で土俗的、前時代的で懐かしさも感じられる
バルカンビートが世界を席巻した要因には、
こうした要素が「満を持して」結集したこともあるのでしょう!
BALKAN PARTY というご機嫌なタイトル名!
〜これまでの「ジプシー音楽の旅」〜
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