砂漠から世界のフロアへ。
電子音楽というグローバルな言語のなかに、アラブの旋律や中東の鼓動が響く瞬間がある。
伝統と最先端のあいだで揺れ動くサウンドは、ただのダンスミュージックを越えて「文化の体験」そのものへと変わる。
「音楽でめぐる中東の旅」の第5回目は、そんな“音で旅する”感覚を届けてくれる中東出身のDJ&プロデューサーをご紹介します。
Sama’ Abdulhadi(サマ・アブドゥルハーディ)

パレスチナ・ラマッラー出身。
中東初の女性テクノDJとして世界的な注目を集める存在。
重厚でミニマルなビートに、パレスチナの社会的・文化的背景を滲ませる彼女のサウンドは、ベルリンやヨーロッパ各地のクラブシーンでも高く評価されています。
YouTubeプレイリスト
Sama’ Abdulhadi | DJ Sets
YouTubeチャンネル
Sama’ Abdulhadi – YouTube
The Guardianによるインタビュー
政治的なプレッシャーと向き合いながら音楽活動を続ける姿勢が紹介されています。
Bedouin(ベドウィン)

NYを拠点に活動するTamer MalkiとRami Abousabeによる、ヨルダン&エジプト系デュオ。
中東音楽の旋律とディープハウスの融合が特徴。
砂漠や遺跡を思わせる神秘的な音像は、Burning ManやAfterlifeなどのフェスで絶大な支持を得ています。
YouTubeチャンネル:
Bedouin – YouTube
注目セット
Petra (Jordan) for Cercle
ヨルダンのペトラ遺跡でのライブパフォーマンス。
Deena Abdelwahed(ディーナ・アブデルワヘド)

チュニジア出身、現在はフランス在住のエクスペリメンタルDJ&プロデューサー。
アラブ音楽のリズム構造や発声を斬新なクラブミュージックに再構築。
ポストクラブ以降のサウンドを牽引するアーティストのひとり。
YouTubeプレイリスト
This is Deena Abdelwahed
注目アルバム
Jbal Rrsas
アラブ音楽とエクスペリメンタル・クラブミュージックを融合させた作品。
中東の風景、歴史、そして現代のリアルが、彼らのビートの中に息づいています。
もし、夜の帳が下りるころにその音楽を聴けば、きっとあなたも音で旅をする感覚を味わえるはず。
土の香りがする民族音楽も、こってり濃厚なアラブポップスも、どちらもつい腰でリズムを取ってしまうほど大好きなのですが、ときには電子音で夜を明かすのも最高です。
いつか私が北海道でフェスをやるなら、このお三方を招聘してエンドレスで踊りまくりたいと思います。
text: OMOMUKI magazine / CHAKA MAYO
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