定山渓に『MOUNTAIN STORM(マウンテンストーム)』という木彫りの店がある。
店主のオオムラさんは木彫りコレクターで、そのアンテナと情熱は、潔いくらい突き抜けている。初めて訪れた時、私自身も木彫り作家の作品や古物を紹介していたこともあり、
まだ知られていない作家の話などを、熱量高く教えてくれた。
お会いするたびに更新されていくコレクション。
そのスピードは驚くほどで、いったい、いつ休んでいるのだろうと思う。
「本当は双子なのでは?」と疑いたくなるくらい、函館や旭川など道内各地に神出鬼没だ。
オオムラさんはもともと網走のご出身で、最近はニポポを集めながら
網走の歴史やオホーツク文化について調べているという。
私もニポポ人形の顔が好きで、いくつか部屋に飾っている。
あの、半分まぶたを閉じたような表情は、どこか仏像の半眼思惟を思わせる。

ニポポは、網走刑務所で作られてきた木彫りの人形だ。
ちょうど今、映画『ゴールデンカムイ網走監獄襲撃編』では
網走監獄が舞台になっているが、ニポポもまた、網走刑務所の手仕事として形になり、
今も土産物として人の手に渡っている。
その名前や造形の由来は、樺太アイヌの文化にあると言われている。
戦後、樺太から引き上げてきた人が、網走郷土博物館長に見せた樺太アイヌの木像。
小さな木の人形には、守りのような意味が込められていたという。


網走には、セワポロロのような愛らしい木彫りの民芸品もある。
北方ロシアの民族であるウィルタの文化を背景にしながら、それを地元の人々が
それぞれの感覚で受け取り、自分たちなりに解釈し、形にしてきたものだ。
前回、今回とこれだけ話題にしているけれど、
私は映画『ゴールデンカムイ』は観ていない。
漫画全31巻を読み終えたばかりで、その余韻に浸っているからだ。
もちろん、最終巻ではしっかり泣いた。
北海道アイヌ、樺太アイヌ、オホーツク文化。
さらに遡れば、私たちの祖先はどこかで繋がっているのかもしれない。
これまであまり知られてこなかった北方の文化圏に光が当たっている。
マウンテンストームさんの動きは、その繋がりを共に探求する仲間が増えたようで
なんだか嬉しいのだ。ニポポ・コレクションは相当な数にのぼっているという。
気になった人はぜひ、定山渓のお店を訪れてみて!
MOUNTAIN STORM
https://www.instagram.com/mountainstorm_art/
北海道札幌市南区定山渓温泉西4丁目377
text: OMOMUKI magazine/ CIMACUMA SAORI



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