揺れても、戻る。どうやらこれが私の『自分軸』

Spiritual


レジで並んでいたら、しらこい顔をしたおっちゃんに横入りされた。
店員さんも特に注意することなく、そのままお会計を進めている。
私は心の中で、「いやいやいや」とこの現象にツッコミを入れる。

こういう小さな不条理にぶつかるたび、いつも
「早く地球を終えたい、本当のホームに帰りたい!」と、この世界を嘆いていた。

『自分探し』という言葉があるけれど
ロンドンに滞在中、某ガイドブックでライターを募集していた。
応募の際、「英国で自分探しをしています」と書いた。
もちろん面接の知らせは届かなかった。

いつも「ここではないどこか」「魂の安住の地」を探し求めて、さまよっていた。
「私ではない誰かになれたらこの苦しみは終わるんだろうか」
「この仕事をやめれば人生は好転するかも」.. そう考えてはリセットボタンを押した。

答えを求め、青い鳥を探す私の自分探しは長かった。

最近、あの頃 探し求めていたものが『自分軸』だったことに気がついた。

『自分軸』って、まっすぐでブレがなくて、
芯が体の下から上までしっかり貫かれたような、強いものを想像していた。
確かに、達人になればなるほど、その境地は確固たるものになるのかもしれない。
でも、私はまだそこに至ったことがないからわからない。 

私なりの自分軸を意識できるようになったのは、
自分を客観視するための心のスペースが少しずつできて、
「あぁ、私かなり他人軸だったな」と自覚できるようになってからだった。

じゃあ、自分軸と、他人軸の違いって何だろう?

私にとって他人軸には、比較がある。競走心(焦り)、嫉妬、他責。
何かあると、「あの人のせいで」「パートナーのせいで」と人のせいにしたくなる。
「どうして自分ばかりうまくいかないんだろう」。
大切な人と喧嘩して、苦悩して、泣いてわめいて、謝罪して。
感情をむき出しにしながら、なんとかこの世界で生きやすくなりたいと必死だった。

他人を羨ましく思って「自分には無理だ」と決めつけて、諦めたり、絶望する。
他人軸でいる限り、「誰か素晴らしいメンターが現れて自分を救ってくれる」という
幻想や依存は終わらないし、変わらない。
外側の出来事に振り回されては、外に答えを求めた。
不可解な事、違和感を感じるたびに自分自身を内観して、占星術で紐解いて、
客観視できるようになってから、何かが少しずつ変わっていった。

自己理解が深まるごとに、未熟な自分を少しずつ認められるようになっていった。
ネガティブな出来事をひきずる時間が変わっていった。
以前なら、不可説不可説転1年くらい抱え込んでいたことが、
今では1時間くらいですぅっと昇華されてゆく。

『揺れても、「自分」に戻る』感覚が、ぐんぐん明確になっていった。

今も、状況やメンタルによって、普通に揺れる。
でも今の私にとって、自分軸は、どんなに激しい嵐の中でも倒れない、
柳みたいなものになっている。

何か起きれば、やっぱり揺れる。もし私の自分軸が川っぷちにはえていたら、
枝葉なんて水中でヘッドバンキング状態だと思う。しなる。流される。
でも、根がある。だから最後は「いや〜久しぶりにきつかった〜」って言いながら、
また戻ってくる。

自分軸って、決して“ブレない”ということではなかった。ブレても戻ってこられる、
というより、そもそも私はいつもちゃんと戻っていた事に気がついた。
そして、自分の中に、安住の地がある事にも。

「ここではないどこか」を探し求めていたけれど、
心から安心できて、本当の自分でいられる場所は、最初から自分の内側にあった。

自分から逃れられない事が絶望的に苦しかったけれど、
結局、どんなにリセットボタンを押して環境を変えても、私はいつも、自分と一緒だった。

たくさんの人の中では、うまく話せない自分もいる。
冗談で場を軽くしようとして、逆に滑って凍りつくこともある。
自我はあるから、うっすら疎外感を感じることもある。

でもそこに意識が向かうより、ただ、こうして自分として在ること。
それだけで満ち足りている。

不器用でも、揺れていても。ただ、その人として存在していること。
今日という現実を、この身体で体験していること。
風の匂いを感じたり、誰かと笑ったり、傷ついたり、お腹を空かせたり。
フリーマーケットに手ぶらで来る人に毒づく小さい自分もいたり。
そのすべてを含めた、自分で有ることの喜び。

どうやらこれが、今の私にとっての自分軸らしいです。

text: OMOMUKI magazine/ CIMACUMA SAORI

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この記事を書いた人

'дача'(Dacha ダーチャ)はロシア語で手づくりの小屋のある庭のこと。北海道で、おばあちゃんのうちを訪れたような東欧懐古雑貨とカフェの店を運営。'uracima'名義で星読み師としても活動中です☆

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