PUNK GARTEN 夏になると思い出す、ドレスデンのパンクガルテン。

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真夏日 MAX 暑くなると思い出す庭がある。

その庭はドイツが東西に分かれていた頃の東側、いわゆる 東ドイツ(DDR→Deutsche Demokratische Republik ドイツ民主共和国)の1都市 ザクセン州都ドレスデン(Dresden)の古物ディーラー倉庫にあった。

ドレスデンと聞くと、きっと多くの人が思い浮かべるのは西洋白磁の最高峰と謳われるマイセン(Meißen)ではないかな?17世紀、シルクロードを経て東洋からもたらされた白磁。西洋人にとってのオリエンタル・マジックだったこの磁器の技法の秘密を解いたのは実際、時の王に幽閉され開発を担わされた錬金術師だったそうだ。

そのマイセン古物があるかもしれない..という期待を抱いて赴いた、猛暑の当たり年だったドレスデン。その夏は街中、サッカーのワールドカップ観戦でビール片手に熱く応援する人たちで溢れかえっていた。

北駅側のどちらかと言えばうらぶれた場所にあったディーラーの卸倉庫。オーナーはビスクドールのような荘厳な顔つき、大柄で体格の良いパンクな若夫婦だった。それぞれ黄色と青のタンクトップにショートパンツというラフな出で立ち。二人とも腕と足にがっつりタトゥーが入り、奥さんの赤い髪が青いタンクトップに映えていた。何より印象的だったのが、こちらがドキドキするくらいコワモテに見える二人の穏やかな口調だった。

倉庫、倉庫、倉庫…!何棟もある巨大な倉庫群にはドイツ中から集められた玉石混交の珍品ガラクタの山。汗だくで倉庫群を移動しているうちに、落書きだらけのコンクリート外壁が実はちゃんとアート空間になっていることに気がついた。鮮やかに咲く縞模様のピンクのペチュニア。ハンギングされたホーローは手前のドラム缶と同じシルバーカラーのエアゾールペイント。

強烈な日差しをものともせずに咲くバスケットの中のミニ薔薇。錆びた鉄パイプに沿って這うグリーンは、これからつぼみをつける朝顔の葉。ナスタチュームの黄色やオレンジが強い日差しのもと明るく輝いていた。

無造作に捨て置かれた廃材がごろごろ転がる光景はまるでサイバーパンクの世界。だけどどんなに荒くれた雰囲気が漂っていたって。このガルテン(庭)の主と植物たちがいかに愛情深く触れ合っているかはすくすく伸びる植物の様子で一目瞭然だった。「僕たち、大事にされてるよ」という声が聞こえた気がした時、さらに先の倉庫で奥さんがジョーロで水やりをしていた。

ドイツまで足を延ばすことをしなくなって久しいけれど、この夏も、あのパンク・ガルテンで植物たちはのびのび太陽を浴びているだろうか。

余談だけれど我が愛車( 軽自動車、プチカスタムで楽しむレトロカー“エッセ“ンス )の後ろ姿を飾る DDRプレートは、ここドレスデンで見つけたものなんでーあーる。

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