「この夏は過ごしやすいな〜」なんて思っていたらこの数日でぐんぐん気温が上がりみるみる真夏日になりました。冬の積雪量にも思うけど、季節ってちゃんと帳尻があうようにできている!らしい。
夏といえば思い出すのがロシアの発酵ドリンク KBAC クヴァスです。
このドリンク、度数が1〜2.5%の微炭酸アルコール飲料でロシアほかベラルーシ、ウクライナ、ルーマニアなど東欧各国で愛飲される夏の風物詩的な位置付けです。
クヴァスの歴史は古く、キエフ大公国(ルーシ:9〜13世紀、東ヨーロッパ〜北ヨーロッパに存在した国家)の時代から飲まれているということで、これだけ広範囲な国々に残っているのも納得です。
写真は2015年のロシア旅にて。
おばあちゃんが大きな丸いタンクからコップに液体を注いでいます。タンクには KBAC(クヴァスまたはクワス) の文字。場所がロシア正教会内だったこともあり「おぉこれがあのタンクカー式クヴァススタンドか」と感動しました。
クヴァスはライ麦、黒パンなどを原料としています。ボルシチと同じように各家庭独自のレシピがあるといいます。冷蔵庫のなかった時代は、発酵し微炭酸になったクヴァスが夏の飲み物として欠かせないものだったそうです。
シュワシュワと泡立つクヴァス。
2015年頃のロシアは中国からの観光客がとても多かったのですが、この時もクヴァススタンドの周りに群がっていたのは、私と私以外全員アジア人でした。中国の人たちの反応を見ていると、みんな一口飲んだら「ほぅ、これはうまいね」という笑みを浮かべて他の人にもすすめていました。
私もコップに注がれた茶色いクヴァスをおそるおそる口に含みました。実はそれまで○○酵素などの酵素系飲料のような、発酵した野菜独特の「すっかさ」(酸味)を帯びた味かとドキドキしていたのです。実際には、甘すぎないクラフトコーラのようなさっぱりとした味。美味しい!でした。
昔はクヴァスを発酵させるためのパンが市場などで販売されていたそうです。ライ麦をベースに作るレシピ、黒パンをベースに作るレシピと様々なレシピがあります。スーパーで販売されているペットボトル入クヴァスも飲んでみましたが意外と美味しく手軽に購入できリピートしました。
日本でも、ロシア料理を紹介するいろいろなサイトで手作りクヴァスのレシピが紹介されています。
一例ですが、クヴァスのレシピ
・ライ麦 200g
・水 3ℓ
・砂糖 100g
・ドライイースト 小さじ2
・あれば レーズン 10g
1. 水3ℓをお鍋で沸騰させる
2. ライ麦をお鍋に入れる
3. 火を止める。2.で沸騰させたライ麦入のお湯を冷ます。(※40℃以下になるように)
4. 冷ましたお湯に砂糖、(あれば)レーズン、ドライイーストを入れる。約8時間、発酵させる
5. たくさんの泡が出たら発酵しているサイン。発酵して出た醪(もろみ)をすくう。
6. ざるを用意して布巾などで濾過(漉す)する。ロウト(漏斗)で瓶(もしくはペットボトル)に注ぐ。しっかり蓋をする
クヴァスの素を販売しているサイトもあります。 中華系食材の通販サイトで缶入クヴァスも発見しました。気になる方は試してみては?
親愛なるウェブサイト『RUSSIA BEYOND』にもクワスはどうやってロシア的な飲み物になったのか?―「ボトル入りパン」の歴史という興味深い記事があったのでリンク貼っておきます。
ところで、ふと「日本でクヴァスに当たる飲み物は何だろう?」と考えるに至りました。いろいろ並べてみるにつけ、どうやら冷やし甘酒が近いのかなという結論に達しました。古今東西、暑気払いには発酵飲料という知恵があったんですね〜。
さてここから夏本番。皆さま、夏バテしませんように!
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