かぽんと果肉を飲み干す快感~中東のジューススタンド

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中東諸国の街角で、見つけると必ず立ち寄ってしまうのがフレッシュフルーツジューススタンドだ。

そして店が気に入ったら、滞在中は毎日通って行きつけにしてしまう。

店の軒先に果物をてんこ盛りにディスプレイしているが、季節のものしか置いていないので大抵は2~3種類しかない。

旬の果実以外は置いていない潔さが、心にくくて大好きだ。

ジュースにしたい果物を選ぶと、その場でギュギュっとディスペンサーで絞って提供してくれる。

季節によって果物が入れ替わり、オレンジ、サトウキビ、マンゴー、グレープフルーツ、ざくろ、りんご、バナナなどを見かけた。

なかでも愛してやまないのが、何といってもマンゴーの生搾りジュース。

果肉をかぽんと飲み干すような、とろっとろで濃厚なマンゴージュースは泣けるほど美味しい。

エジプトのカイロで感涙したマンゴージュース

カイロのドッキにある、ピラミサホテルの近くにあったフレッシュフルーツジューススタンドの親子。オジさんはいつもメガネが斜めっていたw

2009年にエジプトのカイロで開催されたベリーダンスフェスティバルに初参加したときのことだ。

このフェスは世界中からベリーダンサーが何百人と集まって、日中はベリーダンスのWS、夜は生演奏パーティーやコンペティションに参加するという、1週間の強化合宿的なイベントだった。

1コマ3時間のWSを一日フルで受けると、3コマ9時間まで受講できる。

それをね、まだ30代の若かりし頃だったので連日フルで受けまくって踊り続け、夜は搾りカスになってくたくたに。

そんなときにホテルの近くにあったジューススタンドに毎日通って、搾りたてのマンゴージュースを飲んで精気を養っていた。

小さなジョッキのようなグラスに注いでくれるので、その場で飲んでグラスを返却するシステムだ。

あまりに美味しすぎてペットボトルを持参してジュースを持ち帰り、ホテルでも飲んでいた。

汗だくでへとへとの自分への最高のご褒美だった。

当時はオレンジジュースが40円、マンゴージュースは60円ほど。

トルコ・イスタンブールの都会的なジューススタンド

5月のトルコはオレンジとグレープフルーツとざくろが旬だった。ケバブ屋に併設したフレッシュフルーツジューススタンド。

2015年、トルコ・イスタンブールのフレッシュフルーツジューススタンド。

グランドバザールの近くにあり、立地的に観光客多めなので価格は少し高め設定。

オレンジジュース160円、リンゴジュース180円、ざくろジュース400円ほど。

観光地じゃなければ1杯100円ほどだったオレンジジュースが、近年のハイパーインフレで現在は300~400円ほどだそう。

スタッフが手袋を履いて作業していたり、飲み物をカップに入れてくれたりと近代的なスタンドだった。

左から、当時イスタンブール在住だったクラリチェ洋子さん。ガイドブック「エキゾチックが素敵 トルコ・イスタンブールへ」の著者。右は旭川のベリーダンススクール「Reem bellydance」主宰の小夏ちゃん。

オレンジジュースはモロッコ・マラケシュのフナ広場名物

フナ広場にはたくさんのフレッシュフルーツジューススタンドがある。一番人柄の良さげなオジさんの店を選んだ。

2016年はモロッコのマラケシュを旅して、フナ広場のフレッシュフルーツジューススタンドに通い詰めた。

フナ広場にはジューススタンドがたくさん並んでいるがオレンジジュースの店ばかりなので、フナ広場の名物として有名だ。

甘酸っぱくて味のしっかりした搾りたてのオレンジ果汁をグラスで提供してくれる。

その場で飲み干してグラスを返却するスタイルだが、露店にしてはめずらしくストロー付きだった。

当時は1杯50円ほど。

シリアのアレッポで営業再開したジューススタンド

この写真は「プロパガンダ・ドキュメンタリー映画『娘は戦場で生まれた』」で掲載したものを再掲載。

2018年、シリアのアレッポにて。

中東ワイン&食品を輸入している㈱エイシャントワールドの田村公佑さんが撮影。

内戦の傷跡を残しながらも、復興へ向けて徐々に人々が動きはじめた時期だったそう。

営業を再開したフレッシュフルーツジューススタンドでは、イチゴ、バナナ、オレンジ、レモンを置いている様子。

アルメニアのざくろジュースが高級だった件について

フレッシュフルーツジューススタンドのお兄さんの後ろから、搾ってる様子をがっつり撮影しているさおりん。

2023年、アルメニアのホルヴィラップ修道院へ行ったときに、お土産物屋の一角にあったフレッシュフルーツジューススタンド。

アルメニア名物のざくろとオレンジの2種類で、なんとざくろは1杯1100円ほど!

アルメニアはロシア・ウクライナ戦争の影響を受けて、2022年以降は物価高とともに貨幣価値が1.6倍ほど上がってしまった。

理由は、制裁によって欧米への旅行を制限されたロシア人たちが、親ロシアのアルメニアへ大勢訪れているインバウンド効果。

またロシア人は欧米での銀行取引も制限されているため、資産を守るためにアルメニアで銀行口座を作るツアーが大人気だそう。

外貨の大量流入によるアルメニア経済の活性化が起こり、円安と相まってアルメニアの物価高に驚いてしまった。

プラス観光地価格でもある。

甘酸っぱくて濃厚な味わいのフレッシュざくろジュース。甘みを入れてないのでかなり酸っぱい!

本物のジュースを飲むと、もうそれだけで満たされるのだ

中東では大抵どの国も、野菜や果物の味が濃くて美味しい。

生命力にあふれた果実をふんだんに使った搾りたて生ジュースは、日本人の私にとって豊かさの象徴のひとつだった。

日本のスーパーやコンビニにはさまざまな種類のジュースが並んでいるけど、人工甘味料や添加物が入っているものも多く、決して体がよろこぶ飲み物ではない。

ふとしたときに中東が恋しくなって日本のジューススタンドで飲むこともあるが、清潔で整い過ぎていて果実のエネルギーが弱い。

雑踏のなか太陽の光を浴びながら、ハエがまわりを飛びまわっていようとお構いなしにゴクゴク飲み干す中東の生ジュースは、エネルギーが強くて活力が湧いてくる。

衛生的に微妙だったとしてもお腹を壊す程度なら、ペットボトル飲料よりも断然中東のフレッシュジュースに一票を投じたい(いままで生ジュースでお腹を壊したことはないけどもw)。

ジュースの語源は「100%果汁」という意味をもつ。

濃縮還元でもなく、酸化防止剤入りでもなく、私は中東で本物のジュースを知った。

ただただ本物を恋しがっているだけじゃなくこれからは自宅で果物の生搾りジュースを作って、生活に豊かさを採り入れてみようと思う。

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